*プレゼント フォー ユー  後*

 

 

「こんにちは、檜佐木副隊長。」

満面の笑みで、僕は戸の前に立ち尽くす人物に声をかけた。
もちろん作為たっぷりの微笑で。

「おぉ・・・。」

上ずった声。面白い人。
ちょうど書類処理にも飽き飽きしていた僕は、事務いすに座ったまま彼に声をかける。

「珍しいですね。何の御用でしょう?」

にっこーり。

檜佐木副隊長の顔が笑いながら大きく引き攣る。
効果覿面。本当に面白い人だなぁ。

「お、おい、猫かぶんなよ。誰もいねーとこで。気色悪い。」
「えー、そんな副隊長に勝てるはずの無い五席が、副隊長にタメ口なんてきけませんよー」
「・・・・・・・。」

嫌味の応酬に俺は頭を抱える。
あー、ほんとタイミング悪ぃ。
なんでよりによってコイツ一人が詰所にいる時に来ちまったんだ。災難だ。

「で、何の用?」
「結局タメかよ。」
「だって君があんまりにも予想通りの反応するからつまんないよ。」

落ち着け、俺。
仮にも(自分で言っていて情けない)副隊長の威厳たるものを忘れるな!

「・・・・・てめぇに用はねぇ。」
「書類に隊長の印鑑が欲しいなら、僕がするけど。」
「なんで用事知ってんだよ?」
「だって君が持ってる紙、丸見え。機密文書ならもっと用心深く持って欲しいな、檜佐木副隊長?」
「・・・・・(こいつキライだ。)・・・お前がサインしてもいいのか?」
「うちの隊長、ああだから書類については僕がやってるんだ。」
「・・・・・・へぇ。」
「はい、書類出して。」

弓親は引き出しから、大き目の印と朱肉を取り出し、差し出した文書にしっかりと判を押す。
その横に更木剣八、とおおよそ男らしくない線の細い筆跡で署名をした。

「はい、どうぞ。」
「どーも・・・つか、今日一人なんだな。」

いつも11番隊舎はやかましいので、静かだと不気味にさえ感じる。

「うん、皆僕に誕生日プレゼントだなんて言って、書類押し付けてどっか行っちゃってさ・・・酷い話だよね。」
「誕生日・・・?今日なのか?」
「そう。」

やつは、事も無げに言った。
逆に俺は焦る。

「お・・・おめでとう。」
「ありがとう。」
「今日だとは思ってなかったし。」
「だって教えてなかったし。」
「なんもやれねぇ、すまな」
「あっ、いい事考えた!」

俺の台詞を最後まで言い終わらぬうちに完璧無視し、やつは急に目を輝かせて手をぱちんと叩いた。

「僕もう今日はデスクワークばっかりで疲れちゃってさー」
「・・・・・・は?」

いすから立ち上がり、やつは刀の柄に手をかける。
俺はやっと、台詞の意味を理解し、後ずさった。

「おい・・・・!ちょっと待て!おちつ」
「君の霊力吸わせて!!」
「嫌に決まってんだろ!」
「僕今日お誕生日なんだけど」
「知るか!自分で「お誕生日」ゆーな!」

突如襲い掛かってきた弓親に、俺は飛びのく。
刀の切っ先が俺のすぐ横を掠って髪の毛が数本はらはらと切れて落ちた。

「じゃあ書類手伝ってよ!」
「無理!」
「君に拒否権はないよ!書類手伝うか霊力くれるか!さぁ究極の選択に悩むその顔を僕に見せてご覧!」

やべぇ、こいつマジだ。

おれも、仕方なく刀に手をかけようとした。

「縛道の六十一  六杖光牢!」
「・・・・・・・!!」

逃げようとしたが時既に遅し。

俺は、刀に手を掛けたままの間抜けな格好のまま、身体を動かせなくなった。

「・・・・・卑怯だぞ」
「油断した君が悪いよ、僕が鬼道得意なの忘れてたの?」
「まさかこんな所で斬魂刀発動する馬鹿がいるなんて予想できるわけねーだろ!」
「ふふふ・・・・言い訳は美しくないよ。」

前にも苦い目を見た、あの眩い七色の孔雀の羽のような光と、まがまがしい霊圧がやつから発せられる。

 

「君の霊力、僕結構お気に入りなんだ。遠慮なく頂くね。」

 

 

俺は、悪魔の微笑みを見た。

 

 

++++++++++++++++++++++++++

 

 

「帰ったぞー。弓親生きてるかー?」
「おっかえり一角〜♪遅かったねぇvv」
「・・・・・・あ?どした弓親。」

思ったよりも時間食って怒られるかなぁ、と思って帰ってきたら、弓親は妙にハイテンションだった。
なんか変なモンでも食ったか?
意味はわかんねぇが、毎度毎度こいつの行動は予測不可能なので、深くはツッコまないことにした。
つーか、あんまつっこんじゃいけねーような気がする。

「あ、今なんで僕がちょっと見ない間にいつもよりキレイになっちゃってんの、って思っただろー?」
「思ってねーよ。」
「そんなに聞きたい〜?」
「・・・・あー、はいはい。」
「君が留守中に、とっても素敵なプレゼント貰っちゃってさ!もう元気ハツラツ!」
「・・・・・・・・。」
「あ、心配しなくていいよ!やきもち焼かなくても、僕が一番楽しみにしてたのは一角のプレゼントだしー」

どこからこいつにツッコミを入れたらいいか迷うよりも、その「素敵なプレゼント」やらが気になる俺ってやっぱどうかしてるかもしんねぇ。
こんなキモいクネクネの仕方さえ可愛いなんて思ってしまうなんて末期だ。

「ちなみにどいつにそんないいモンもらった・・?」

さりげなく聞いてみたら、弓親のやつめ人差し指を唇に当て言いあがった。

 

「な・い・し ょ!!」

 

 

 

完。

 

 

わーんマジすいませ・・・!!!!
もう「完」よりもむしろ「終われ」って感じですね。
ハイテンション弓親がキモすぎて、愛しかったです楽しく書きました(笑)
調子に乗って藤色であとがき書いちゃったりしてもう管理人末期みたいです。
初駄文がこんなですみません・・どうか見捨てないでやってくださいまし(切実

 

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